1伏犠先輩のじじくさい理由
オロチ高校に通う三年、伏犧先輩は後輩に頼られる良い先輩でした。
しかも喧嘩も強く、悪いことをする人を見つけると大剣でばっさばっさとやっつけていました。
武器を使うなんて卑怯だぜと言う奴らもいましたが、悪い人をやっつけていたので、好感度は上がる一方でした。
そんなとき二年生の左近君に尋ねられました
「伏犧先輩はなんでそんなにじじくさい喋り方なんですかい?」
左近君は自分の事は棚に上げて伏犧先輩の喋り方を少し笑いました。
伏犧先輩は優しく
「わしはおじいちゃん子でな、おじいちゃんが大好きじゃった。おじいちゃんはとても優しい喋り方をしていて、わしは
聞いているだけで気持ちが落ち着いたもんじゃ。…そんなおじいちゃんが昨年亡くなったもんじゃから、わしはその優 しかったおじいちゃんの喋り方を真似て皆の気持ちを落ち着かせてやろうと思ってな。こんな喋り方にしてるんじゃ」
「伏犧先輩…そうだったんですかい…あっしは知らずに笑ったりして…」
「いいんじゃ、左近。おぬしも皆に優しくするんじゃぞ。皆の笑顔はいいもんじゃ」
「ええ。そうさせてもらいますよ。伏犧先輩、飯でも食いに行きませんか?失礼なこといっちまったんで、奢りますよ」
「気なんか使わんでいいんじゃよ」
「いえいえ、なんだか伏犧先輩と話してるとあれが食いたくなりますよ」
「なんじゃ?」
「もんじゃです。さあ行きましょう」
こうして二人は近所のもんじゃ焼き屋さんで楽しく食事をしたのでした。
次回は「じじくさくたっていいじゃないか」です。お楽しみに!
もんじゃがたべたい
2じじくさくたっていいじゃないか
「伏犧先輩、飯でも行きませんかい?」
「またもんじゃか?」
「いえいえ、今日は伏犧先輩の好きなもの食いに行きましょうや。」
伏犧先輩は考えました。
「そうじゃのう何がいいかのう」
「好きなもんなんですかい?」
伏犧先輩はまだ考えています。
「カツ丼なんかどうですかい?」
「あれは胃に来るでな。」
「じゃあ焼き肉なんかどうですか」
「あれも翌日胃が重苦しくなるからダメじゃ」
「…じゃあラーメンはいかがですかい」
「あれは胃がもたれるからダメじゃ」
「……いったいなんならいいんですか」
左近君は少しいらいらしてきました。
「大根の煮物でも食いたいのぅ。後はしらすおろしじゃな」
「………伏犧先輩………大根の煮物とか、胃に来るとか、まるっきりおじいちゃんじゃないですか」
伏犧先輩は喋り方だけでなく、中身もおじいちゃんだったのでした。
飲み過ぎには気をつけよう!
次回は「伏犧先輩若返り計画」だよ。お楽しみに!
いいシラスがたべたい
3伏犠先輩若返り計画
左近君はおじいちゃんな伏犧先輩を若々しくしたいと、伏犧先輩改造計画をひそかに考えていました。
まずはあの喋り方をなおさない限り何も変わらないと、伏犧先輩に持ちかけました。
「伏犧先輩、もっと若々しい喋り方しましょうよ」
「いや、いいよ。」
「そんなこと言わずに、俺が教えますから。」
「そうじゃのう…じゃあ少しなら」
「じゃあまずその『〜じゃ』を止めましょう」
「オッケー」
「おーいいですね!では若者言葉を覚えましょう」
左近君は最近ヤングの間で使われている略語を伏犧先輩に教えました。
「まずはKYですな」
「ほう、なんじゃそれは」
「空気が読めない人のことを言うらしいですぜ。お次はPKです」
「わかったぞ。プリクラの略語じゃな。わしもプリクラくらい知っとるわ」
「違うんですよ。これはパンツ食い込んでるの略だそうですよ」
「…わしはパンツが食い込んでることを人に知らせようとは思わんが…」
「あっしもですが、覚えておいて損はないでしょう。じゃあ最後はSOSです」
「助けてくれじゃないのか」
「いいえ、違いますぜ。『そうだ!俺は、左近だ!』の略です。」
「………」
「…まあ、俺が考えたんですけどね…」
「わしには使い道がないが、一応覚えておくことにするわ…」
「…」
「…」
結局伏犧先輩改造計画は失敗に終わりました。
次回は「伏犧先輩恋の噂」だよ。お楽しみに!
ふっき先輩のしゃべり方はわざとじゃなかったのかという疑問
左近の一人称は俺なのかあっしなのかという疑問
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